【まちなかストーリー】ワイン&キッチンHACHI 橋爪 厚志さん 第4回「まちなかで事業を起こして感じたことや思うこと」

まちなかで活躍する人にスポットを当てて、そのヒトの街に対する想いや物語を紹介する「まちなかストーリー」。始まりとなる1人目は、ワイン&キッチンHACHI の 橋爪 厚志さん。全4回に分けて、毎週お届けしていきます。今週は橋爪さん最終回、まちなかで事業を起こして感じたことや、街中に対して思うことをお話していただきました。
 

人物紹介

橋爪 厚志さん
大学進学を機に上京し、学生時代のアルバイトを通じて飲食業に興味を持ち、飲食業に就職。東京でお店を出し共同オーナーに。その後浜松に戻り、2013年9月に「ワイン&キッチン HACHI」を中区鍛冶町にオープンし、2016年4月には別業態の「浜松太陽食堂」をオープン。浜松の飲食業界を盛り上げる若き実力派オーナーさん。ワインとサッカーと日帰り温泉が好き。

街のせいにするな!自分の店でもっと頑張れ!

伊藤 にぎわい協議会やAnyに、橋爪さんとしてこうしてほしいとか、こうあってほしいという要望はありますか?

橋爪 僕としては、前も何度かお話しさせてもらっていることなんですけど、この辺の活性化だったり、人を集めるには、なんとかフェスとかでイベントをやれば集められるとは思うんです。

実際、この辺のお店の人たちが、自分の店のところでお金を使ってくれないから文句が出てきてしまうと思うんですよ。でも、それって、にぎわい協議会の方々のせいではないと僕は思うわけです。

結局、そのお店に行きたくなかったら行かないじゃないですか。行きたかったら行くじゃないですか。

鳥居 うんうん、街が賑わうこととお店に行きたいは別ですね。

橋爪 という問題なんじゃないかなと、僕は思っちゃうわけですよ。

鳥居 さっきのお話ししていただいた内容でもあった、勝負できるお店が少ないというお話に近いですよね。

橋爪 なのかなーと僕は思ってしまうんですけどね。なので、もっと個店個店が頑張らないと。

伊藤 そうなんですよね

橋爪 もう、いつまでも街のせいばっかにしてもしょうがないんですよ!自分の店で頑張ってよって僕は思っちゃうんですけど、もっと魅力的なお店にするとか、宣伝するとか。それプラスの、まちなかに出向いてくれるイベントを皆様にやっていただければ僕はそれでいいのかなと思います。

「自分のお店にお客さんを増やすためになんとかしてよ」と言うのは、僕はもう、その人のお店がもっと頑張らないと駄目なんだろうなとは思いますけど。なので、集客の手段と方法が違うのかなって。

伊藤 どちらかというと、枠組みのような・・・例えばフェスとかイベントを持ってきて実行するとか。みんなが、各個店さんがそこに載っかって勝負できるような下地を作っていくようなことを、し続けていくことかなと。

人を来るようにしますので、来た人をみんなで考えましょうよ!と、働きかけてみんなに理解してもらうと。たぶん、橋爪さんみたいに思ってもらえる方って少数派だと思うんですよ(笑)

橋爪 だと思いますよ(笑)根っからここで商売やっていた人間ではないですし、年も若い方ですしね。僕は、昔から思っているのは、自分のお店が興味のあることをすれば、「あーあのお店のあれはいいねー」と言ってきてくれる。

この前うち、「くさデカ」に出たんですよ。やっぱりそういうのにでると、よそからでも来てくれるとか、そういう力にもなります。そうなると結局は、「個店の力」だと思うんですよ!

さっきも言いましたけど、僕が帰ってきて、浜松に戻ってきて、浜松のまちなかの印象ですごく感じるのは「切磋琢磨」してる感がちょっと少ないのかなと思います。

結局、浜松の人の店選びってのは「知ってる人が働いているか」「個室があるか」とか。そういう程度でしか浜松の人って感じていない方が多いと思うので、いろんな飲食の人が切磋琢磨している感じがすごく少ないなと。「あそこのお店に負けたくない」とか、「もっといいもの作りたい」とか。そういうのが、たぶん昔っからやってる方達はもうずっとそこにいるのであまり感じてなさそうだなと。

僕みたいに新しく来て、まだできたてのお店なんかだと、なれ合いというか、なじみ客がいるわけでもないので、どうやって採っていくかというと自分の店の力で取っていくしかない。

伊藤 そうですよね、商品とサービスで勝負すると。

橋爪 何十年もやってる店だともう、別に何か新しいことしなくてもずっときてくれるお客様がいる。だから、(まちに)スピードというか成長がないのかなと感じちゃうんですよね。浜松に戻ってきたときに、すごくこう緩やかな印象があって・・・

だから何かしなくても、なじみ客が来てくれる。昔からの。これがたぶん、この辺はまだまだ根強くあるのかなーと。

なので、まちなかにぎわい協議会のみなさんに期待するのは、たぶん・・・

鳥居意識改革です?

一同 (笑)

橋爪 なんとかのイベントは嫌だとか、大通りの道をなんとかして土日はもう歩行者天国にしちゃって、何かしらの休憩スペースをつくるだとか、移動販売の方を誘致するだとか。浜松の「太陽のチキン」の移動販売とか、もうすごくいいと思うんですよ、ああいうのって。

B級グルメ大会みたいな感じでいろんな方を呼ぶとか、飲食だけじゃなくても、大道芸を一週間、一ヶ月間毎週やるとか。で、もう毎週道を止めて、何かしらのイベントをやるような形を作っていただくとか。

伊藤 みんなが乗っかりたくなる仕組みの土壌を作る。ということでしょうか。「この週末は、1万人の人が来るから」というのを用意させていただいて、そこでみなさんが、そういう数字の事実があればみんな本気になって、この客とろうとか思うかもしれないですね。

橋爪 まちとして本当にもう、週末は確実にこの道止めちゃってなんかやってるっていうイメージを、僕は今後力を入れていった方がー…まぁ浜松市の方の協力も必要ですけど、やっていったほうがおもしろい街作りになるんじゃないかなと思いますね。

せっかく音楽の街なので、毎週そこでずっと個人的に演奏しててもいいと思いますし、あとはいすとテーブルと・・・まぁ誰がどうやって提供するかとかはいろいろ出てきますけど、そういうのをおいて、音楽を聴きながら、どこかで買ってきたものとか、コーヒーを飲むとか、そういう休憩スペースがあってもいいと思いますし。

その方が街としての、面白みってのはあるのかなと。

HACHIオーナーが絶賛する、まちなかの美味しいお店をこっそり聞いてみた

伊藤 橋爪さんはまちなかの他の飲食店さんやオーナーさんと横のつながりってよくあるんですか

橋爪 ちょくちょくありますよ、お店やってると。僕が結構仲がいいのは、焼き鳥の「酉泰(とりやす)」さんとか、「昭和食堂」さんとか、あとはバーやってる方とかいっぱいいますね。

伊藤 この店すごいなってのはどこですか?

橋爪 この店すごいだと、酉泰さんすごいっす。おいしいです。おいしいですし、値段もそんなに高くないので、僕は焼き鳥屋さんをおすすめするときは間違いなく「酉泰」さんをおすすめします。

あとは、最近僕がよく、週末や仕事終わりの深夜にスタッフを連れて行くのは、ジャパニーズグリル藤田っていって。昔、花音っていうお店で、あそこが今オーナーさん一緒で名前変えて、あそこのオーナーさん藤田さんっていうんですけど、そこの「ジャパニーズグリル藤田」さん、おいしいっす!

僕もたまたま知り合いに紹介されていったんですけど、ほんとおいしいっす!なかなか料理がおいしいのでおすすめですね。

高橋 ここも店主の方と仲いいんですか?

橋爪 仲いいです。はい。ここ僕は最近ヘビーに行ってます。週末とかも。

高橋 世代的に一緒くらいですか?

橋爪 僕よりも少し上ですね。知らなかったんですけど、僕浜名高校なんですけど、その同級生の女の子がいたんですけどそのお兄さんらしくて、30後半くらい・・・だと思います。

ここほんとおいしいので、ご飯をちゃんと食べたい時によく行きますね。あとは、郊外のお店でいろいろありますけど。

真剣勝負をする人が増えると街も店のポテンシャルも上がる

高橋 そういう店主さん同士で勉強会とかやられるんですか?

橋爪 僕はよく、酉泰の店長やられている方と、半年に1回、1泊2日で東京に行くんですよ。もう、本当に気になっているお店だとか、今後料理として取り入れたいジャンルのお店とかを、2日間で10店舗くらいをちょこちょこ食べ歩くっていうのをやってますね。

高橋 自分の目と舌と鼻を使って

橋爪 そうですね。で、「あぁさすがだねここ」って。こうやってるんだと。結局、僕らはよくカウンター座るんですよ、作っているとこ見たいんで。それで、見て、あーあんな感じでやってんだねーとかをこっそり話して(笑)その経験を持って帰ってきて自分の意店に活かしたりしてますね。

やっぱ勉強になるお店が多いんですね。東京とかのお店の方が。あとは同業の、先ほどの藤田さんもそうですけど、やっぱり飲食の話を毎回するんですけど、最近どうなのとか、今どんな食材とか、どこで仕入れてるとか、そういう意見交換はすごく多いですね。同業の人と食事したりすると。

伊藤 やっぱり、先ほどもおっしゃられていたように勝負しているんですよね

橋爪 はい!

伊藤 同志のオーナー同士だったら繋がるんですね、同じ思いというか。

橋爪 結局何聞かれても答えますし、情報を隠すつもりもないですし、ここで仕入れるとすごくいいですよとかで業者さんを紹介したりしますし、知らない業者さんを紹介してもらったりしますし。

伊藤 東京では橋爪さんたちみたいに、テナントに入って、そこで家賃を払って、商売をして、成り立たせていくという勝負をすることが当たり前ですもんね。

橋爪 そうですね、なので東京でどこのお店に行っても、当たり外れはありますけど、あまり外れは少ない方かなと。どこに行ってもまぁまぁおいしいかな。というのが僕の中の飲食店、飲食業のイメージだったんですけど浜松に帰ってきたら、「なんかちょっと違うよなぁー?」というイメージは、ありましたねー。

伊藤 そういう勝負してくれる人がどんどんまた増えてくると、街も店のポテンシャルも上がるでしょうし

橋爪 そうですね、なので今も、本当に閉まるお店も多ければできるお店も多いと思うんですけど、最近新しくできるお店が結構県外から入ってきているらしくて、「僕はそれがすごくいいこと!」だと思っていて。地元でずっとやってきた方からすると、先ほど行ったように慣れ親しんでるだけのは暗視になってしまうんですけど、外から来て新しい刺激があった方が僕はいいのかなと思うんで、飲食店としてどんどんこういうのがあるといいのかなと思いますね。

鳥居 最近バルが増えましたよね

橋爪 増えましたね、また肴町の方にもできるみたいですし。あとは、居酒屋で未だに新しくできるお店は個室なんだなぁって(笑)

高橋 豊橋の方のビールのお店も最近できましたよね。本当にそういう外の人が来るっていうのはいいですよね。

橋爪 そういう方が、今までの浜松の空気を崩すというか、いい意味で変えてくれる人たちがどんどん来てほしいですね。

高橋 頑張ってない人ほど、一つのパイを取り合っていることに対して目くじらを立てるというか、自分の常連が減ったとか。そういう人ほど情報を教えないとかね。

橋爪 結局もう、取られたとか取ったじゃなくて、自分のお店に力がないってことを認められないのかな。うちとしては、席数が落ちたり、何かあったときは、あーちょっとメニューかえようとか、あーなんかサービスがいけないのかなとか、さっき最初にも話したんですけど、常に安心したことはないです。安定だなと思ったこともないし、常に何か変えないとと思っていますね。そういうのがないと、やっぱお店ってのは成長しないのかなと思いますし。僕個人の成長もですね。

「迷ったら進め!どうせならやって後悔した方がいい」

鳥居 今後、まちなかとか浜松で起業や開業をする方にメッセージを!

橋爪 僕は迷ったらもう、進め!派なんです。迷うんだったらもうやって、公開するじゃないですけど、やらずに後悔するんだったらやって後悔した方がいいですよね。そのほうが僕はいいのかなと思いますし、なかなか踏みとどまるとか、家庭があるから踏み出せないとかやっぱあるとは思うんですけど、もうやると思ったらやったほうが僕はいいのかなと思います。

結局、あのときやっときゃよかったとか僕は思いたくないんですよ。それがいいにしろ駄目にしろ、結果はいろいろあると思いますけど、やれるうちにやる!っていうのもそうですし、そういうやる気のある人たちと僕は成長したいなと思うので、僕もまだまだ今年34ですけどまだまだ下っ端ですし、これからどんどん若い力が入ってきて、これからの浜松を担っていくわけじゃないですか。

どんどん新しい風が入ってきて、それに刺激を受けて今いる人たちがもっと成長していける環境があればなって思います。